投資会社
RESEARCH NOTE #003

挑戦する企業へ
資金を届ける、
JAFCO

公開 2026年9月27日 ・ 読了 約10分
私 × AIによる投資仮説

JAFCOの社会的な役割は、まだ利益や担保が少ない企業へ、資金と経営支援を届けることです。投資対象を選ぶ力と育てる力を保ったまま、外部出資を増やして投資規模を広げられれば、次世代への資本供給とJAFCOの株主利益を両立できると考えます。

株価・会社情報
ジャフコ グループ株式会社 8595:TYO
この記事の構成
背景情報

なぜ、未上場企業への投資が必要なのか

新しい企業は、技術や構想があっても、まだ利益や担保が少ないため、銀行から十分なお金を借りにくいことがあります。事業の承継や立て直しでも、お金だけでなく、経営を変える人材や知識が必要です。資金と支援が届かなければ、新しい商品や雇用が生まれず、残せる事業も失われます。

JAFCOは自社の存在意義を、「挑戦への投資で、成長への循環をつくりだす」と表現しています。結果がまだ見えない段階で資金と経営支援を届け、成長後に資金を回収し、次の挑戦へ回すことを目指しています。

JAFCOは、資金と支援をどう届けるのか

JAFCOは、まだ株式市場に上場していない企業へ投資する会社です。投資先は、新しい事業を始めるベンチャー企業と、事業の成長・承継・立て直しを進める中堅・中小企業です。

1金融機関、事業会社、年金基金などの出資者からお金を集め、JAFCO自身もお金を出す
2集めたお金を「ファンド」というまとまりにする
3多くの候補企業から、成長の可能性が高い投資先を選んで出資する
4採用、営業、組織づくり、経理体制、上場や会社売却の準備まで支援する
5投資先の成長後、株式上場や会社売却の機会に持ち株を売る
6回収した資金と利益を出資者へ返し、JAFCOの収益と次の投資にもつなげる

JAFCOは、どこで収益を得るのか

ファンドを管理する管理報酬投資先の発掘・選定・経営支援、出資者への報告などの対価として、外部出資者から受け取ります。
外部出資者の分で成果を出す成功報酬外部出資者の持ち分で一定以上の利益が出た場合、その利益の一部を受け取ります。
JAFCO自身も出資する自社出資分の利益投資先の売却時に、自社の持ち分に応じた利益を受け取ります。会社資料では「キャピタルゲイン」と呼びます。

投資が成功すると、外部出資者は自分の持ち分に応じた利益を受け取ります。JAFCOは、外部出資者の持ち分に対する成功報酬と、自社出資分の利益を受け取ります。これに、毎年の管理報酬が加わります。

JAFCOがいま変えようとしていること

JAFCOは、自社資金をファンドへ多く出してきました。成功時の取り分が大きい反面、多額の資金が必要で、利益も投資先を売却する時期に左右されます。

会社は、国内ファンドへの自社出資比率を2033年3月期ごろまでに20%程度へ下げる方針です。2026年3月期に示された新設国内ファンドへの自社出資比率は35%ですが、直近のSV7では20%まで下がっています。外部出資を増やせば、同じ自己資金でより大きなファンドを動かし、管理報酬と成功報酬を増やせます。一方、自社出資分の利益は小さくなります。狙いは、利益総額を保ちながら、少ない自己資金で効率よく稼ぐことです。

なぜ、利益だけでなく株主資本を基準に配当するのか

JAFCOは、前期末の株主資本の6%(DOE6%)と、その年の利益の50%を比べ、大きい方を配当します。売却時期で利益が大きく変わるため、DOEで配当を安定させ、資本のため込みも抑える考えです。

2024年3月期と2025年3月期は利益の50%、2026年3月期の133円はDOEが配当の基準でした。2027年3月期の最低配当133円もDOE基準です。利益が伸びなければ株主資本を減らすため、配当と、投資継続に必要な約600億円の維持を合わせて見ます。

JAFCO株を買うことと、ファンドへ出資することは違う

JAFCO株の買付代金が、投資先へ直接届くわけではありません。JAFCO株への投資は、この投資会社が将来生む利益に参加することです。資本供給の実績は、外部出資額、投資額、投資先の成長、回収と再投資で確かめます。

確認済みの事実

現在の事業を示す五つの確認材料

1
投資実績は厚いが、投資倍率は会社目標に届いていない2026年3月末時点で、累計投資社数は4,247社、累計IPO社数は1,041社です。直近5年平均の国内投資倍率は2.4倍で、会社は今後3倍を目標としています。会社説明
2
SV8の募集は進んでいるが、1,000億円達成のペースはまだ判断できないSV8は2025年12月に500億円で設立され、2026年6月末に650億円となりました。目標は1,000億円規模で、募集終了日は公表されていません。SV7は2022年6月に設立され、同年10月27日時点で500億円、2023年9月末に978億円で募集を終えました。SV8・第1四半期決算SV7・2022年10月
3
新規投資の総額は減ったが、現時点で事業悪化とは言えない2026年4〜6月の新規投資は36.84億円、8社で、前年同期の58.48億円、10社を下回りました。ただし、減少の主因はバイアウト投資が26.74億円からゼロになったことです。バイアウト投資とは、企業の経営権に関わる規模で株式を取得し、事業承継や立て直しを支援した後に売却する投資です。案件ごとの金額が大きく、実行時期によって四半期の数字が振れやすいため、ゼロだから直ちに悪いとは言えません。一方、成長企業へのベンチャー投資は31.74億円から36.84億円へ増えており、この点は前進です。ただし、投資総額の減少が続けば、将来の回収と利益につながる投資の種が減るため、今後も確認が必要です。第1四半期決算
4
回収件数と利益額は少ないが、売却できた案件の採算は保たれた2026年4〜6月の自社出資分の利益は12.21億円、投資倍率は2.37倍でした。同期間のEXITは、ベンチャー投資のIPOが1社、バイアウト投資の主な会社売却が1社でした。第1四半期決算
5
SV8で管理報酬は増えたが、回収減により成功報酬は減った2026年4〜6月の管理報酬は8.82億円、成功報酬は0.75億円でした。管理報酬は前年通期を年換算した比較で13.3%増え、成功報酬は同じ比較で29.8%減りました。会社は、管理報酬の増加をSV8の運用開始、成功報酬の減少をEXITの少なさによるものと説明しています。第1四半期決算
私とAIの仮説

外部資金で、成長の循環を広げる

1JAFCOが、新しい産業を生む企業や、承継・立て直しに挑む企業から、将来性のある投資先を選ぶ
2資金と経営支援によって投資先が成長し、新しい商品・サービス・雇用を生み、残すべき事業を次世代へつなぐ
3投資先の株式上場や会社売却が進み、出資者へ高い利益を返す
4実績への信頼から、次のファンドにより多くの外部出資が集まる
5JAFCO自身の出資割合を抑えながら、より大きな金額を次の投資先へ届ける
6管理報酬・成功報酬・自社出資分の利益が増え、株主還元と次の投資の両方へ回る

この循環が実現すれば、挑戦する企業が育つという社会的成果と、出資者・JAFCO・株主の利益が同じ流れの中で生まれます。社会貢献を利益の外側に置くのではなく、投資先の成長そのものをJAFCOの成果と収益につなげる仮説です。

リスク・反証条件

この仮説が崩れる六つの条件

検証計画

いつ、何を確認するか

2026年10月28日第2四半期で、半年間の投資額、投資社数、回収額、投資倍率、損失への備え、管理報酬を確認する。
SV8募集完了時募集期限は現時点で公表されていない。最終額、外部出資額、JAFCOの出資比率を確認し、1,000億円規模に届いたか、資本効率が改善する構成かを判定する。
2027年3月期末1年間の数字で、第1四半期に減った投資総額がその後どう動いたか、管理報酬の増加が続いたか、必要資金約600億円を維持できているかを見る。
2032〜2035年ごろSV7・SV8で出資額が最終的に何倍になったか、外部出資者が次のファンドにも出資したか、回収資金が次の挑戦へ循環したかを確認する。
現在地

SV8を立ち上げ、外部資金を集めている段階

仮説外部出資を増やし、JAFCO自身の資金負担を抑えながら、投資規模と収益を広げる
現在地SV8は500億円から650億円へ増加し、管理報酬も発生し始めた
投資判断上の弱点SV8の最終規模は未確定で、投資・回収の増加やROE改善もまだ確認できない
次回確認2026年10月28日の中間決算で、投資額、回収、投資倍率、管理報酬を確認する
執筆時点の株価評価

低PBRと高配当は魅力だが、複数年の利益とROEから見れば概ね適正

株価2,288円
実績PBR約0.92倍
3年平均EPS約151円
3年平均利益基準約15.2倍
ROE4.8%
配当利回り約5.8%

私とAIの主観:概ね適正。資産と配当には割安感があるが、利益と資本効率には割安感が乏しい。

資産:PBRは約0.92倍で、株価は純資産を約8%下回ります。ただし純資産には、売却価格が未確定の未上場株式やファンド持ち分が含まれます。ファンド財産はJAFCO本体と分けて管理されるため、PBRは清算時に株主へ戻る金額でもありません。約8%の値引きだけでは十分な安全余裕とは言えません。

利益:1株利益は2024年3月期151.9円、2025年3月期176.6円、2026年3月期123.7円で、平均約150.7円です。株価はこの約15.2倍で、明確に安い水準ではありません。特殊な売却益が大きかった2023年3月期は平均から除きました。

収益力:ROE4.8%と直近5年平均の調整後ROE5.4%は、会社が認識する株主資本コスト約7%を下回ります。投資倍率2.4倍も目標の3倍に未達で、管理報酬32億円だけでは販売費・一般管理費40億円を賄えていません。

配当:利回り約5.8%は魅力ですが、利益を上回るDOE配当が続けば株主資本が減ります。高配当だけで割安とは判断できません。

総合:現時点の株価は概ね適正です。SV8が管理報酬とROEを改善すれば割安評価へ変わります。反対に、利益が伸びず、配当で純資産だけが減れば割安とは言えません。株価情報複数年の利益企業価値向上方針

株価・指標は2026年9月25日終値を基準とします。この評価は公開情報と本記事の仮説に基づく執筆時点の主観です。

出典

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本記事は、筆者とAIの議論をもとに、公開時点の一次資料で確認・編集した研究ノートです。記事本文は公開後に書き換えません。特定の有価証券の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。